鵜飼の漁法

鵜匠はどんな風に鵜を操ってお魚を捕獲するのでしょうか。

長良川の鮎

シーズンにはたくさんの観光客が訪れる岐阜市の鵜飼ですが、どのように見学を するのかは体験した人でなければわからないでしょう。 インターネットで検索をすればそれっぽい画像は発見できますが静止画ではいまいち 理解しづらいので、完璧に理解することは難しいのです。 この漁法は鵜匠と呼ばれる主人公が10羽近くの鵜を巧みに操り、魚を捕らえる 姿を観賞することが醍醐味になります。 漁をして新鮮な魚をゲットすることが目的というより、その様を見学してみんなで ワイワイ騒ぐことが楽しいのです。 夜になったら雰囲気も出てきますし川面に篝火を掲げて魚をおびき寄せます。 そうやって集合させた魚を鵜が次々と捕らえます。 捉えられたお魚は鵜匠の指示により、どんどん吐き篭に投入されます。 この吐き篭は魚を貯めこむカゴで、竹で作られているのでやはり伝統を感じさせる いい味をした容姿をしています。 この一連の動きを鵜舟の上の鵜匠が行うのですが、鵜舟には三人乗るのが岐阜市の 長良川ではしきたりになっているようです。 舟の操縦をする供乗りの役目も重要で、この人が上手に舟を操作しなければ転覆 したり岸にぶつかっていまいますし、最悪の場合川に投げ出されて溺れてしまいます。 鵜匠が安心して鵜と漁をするためにも供乗りの腕は確かなものでなければならず、 また信頼関係も築かれていなければなりません。 そのふたりをサポートする中乗りの役割も重要で、臨機応変にあらゆる出来事に 対処できる人物がこれに就くのが望まれます。 この三人が1つの鵜舟に乗り込み、息の合った見事なコンビネーションでお魚を たくさん捉えることになります。 もっとたくさん乗船すれば、人数が多ければひとりひとりの負担も減って楽に 漁をすることができそうですが、そうすると鵜舟が窮屈になってしまうので三人 で役割分担をするのが丁度いいらしいです。 もし4人1組がオーソドックスなスタイルとして受け継がれてきたのならきっと 今よりも大きな鵜舟が使われてきたでしょうし、現在使われている鵜舟にぴったり の人数が鵜匠、供乗り、中乗りの三人なのでしょう。 三人1組というのはよくありそうで実はあまりなく、探すとなかなか思い浮かばない 奇妙なチーム編成かもしれません。 バスケットボールなら5人ですし、テニスや卓球は2人一組のペアですが、三人 で行う競技や仕事は案外少ないのです。 そんなレアな編成の鵜飼だから見ごたえがある、という人はそういなさそうですが、 ちょっと珍しい人数なのは頭の隅に入れておきましょう。 この鵜舟が川を下りながら漁をするのを眺める狩り下りが最もポピュラーで、 観客は他の舟で後ろを追いかけながら身を乗り出して食い入るように眺めます。 しかし一番迫力があるのは総がらみで、これは川に対して横一列に鵜舟を展開し、 魚が逃げられないようにしてから追い込む鵜飼最大の見せ場です。 縦一列に並んでも横から泳いですり抜けてしまうので、横に広がって魚を追い込む のがこの戦法のミソになります。 移動速度が遅い相手なら縦一列でも対処はできるのですが、魚は泳ぎが得意なので 横一列の方が適しているのだろうと考えられます。 岐阜市の魚が特別素早いわけではありませんが、長良川で育ったからにはそれなりの スピードを持っているのでなかなかいい方法だと思います。 この時鵜匠がなにか声を出していることに気がつく観客もいますが、なんと言って いるのか知りたい人もいるでしょう。 答は「ホウホウ」で、このように鵜に話しかけると喜んでくれるのです。