岐阜市の鵜飼

千年+三百年の歴史がある長良川名物の鵜飼です。

岐阜の鵜匠

鵜飼とは1300年近くの歴史がある古典的な漁で、岐阜市を流れる長良川の夏の イベントとしても全国的に有名です。 長良川は名水100選にも名を連ねる河川でここのお水はとってもおいしいと 絶賛されていますし鵜飼がなくとも岐阜県内では知名度の高い川ですが、関東地方 の方が長良川から連想するのはユニークな漁法の鵜飼でしょう。 見たことはないけどどんな仕組みで魚を捕らえるのかを知っている、鵜飼ビギナー の方は勘違いをされているかもしれませんが、実行されるのは日も暮れて周囲が 暗くなってからの時間になります。 夏は日が落ちるのも遅いですし夜の8時とかが絶好の鵜飼タイムになり、昼間では ないことに驚く関西人も多いようです。 これほどの長い年月続いてきた鵜飼は、魚を捕らえる珍しい方法ということもあり 保護されてきた面もあります。 普通に網や釣竿で漁をするのとどっちが効率が良いのかはわかりませんが、ただ 魚を食べるために捕まえるだけならそこまで優れた方法ではない気もします。 釣りをするのなら釣竿一式があれば道具はほぼ揃いますが、岐阜市の鵜飼をご覧 になったことのある方なら鵜飼がけっこう大掛かりなシステムになっていること をご存知かと思います。 これをやるためにはまず鵜を調教しなければならないので、下準備に数年以上の 年月を費やすことになるのです。 野生の鵜を捕まえてきてもいきなり実戦投入することはできません。 やるべきことを教え込み、一緒に生活をして仲良くならなければ鵜飼は成立せず、 ただ鵜を優雅に泳がせるだけのお散歩にしかなりません。 その仕込は手間がかかりますし、現在まで続いてきたのは援助されたり保護されて きたからと考えることもできるのです。 かの有名な織田信長も鵜飼を生業とする者に鵜匠を名乗ることを許し、特別扱い をして保護したそうです。 乱暴者のイメージの強い織田信長さんにそこまでさせるとは、当時の鵜飼も さぞかし素晴らしい手際だったのでしょう。 また岡崎城で有名な徳川家康さんも長良川の鵜飼が大のお気に入りで、何度か 岐阜市へ足を運んで間近でご覧になったそうです。 イエヤスさんは愛知県の岡崎市にゆかりがあり、そのため岐阜県もわりと近く に感じられたのかかなり贔屓にしていたそうです。 もちろんただ見学するだけではなく鵜飼を続けていけるようになにかとお世話 もしたそうですし、家康公や信長公がいなければとっくに滅んでいたのかもそれない と考えると、岐阜市民でなくとも彼らに感謝したくなりますね。 他にも多くの著名人が長良川の鵜飼を見物して満足してきたらしいですし、直接 援助をしていなくとも影ながら支えてきた人物は多数いそうです。 今長良川で活躍中の鵜匠は正式名称を宮内庁式部職鵜匠といい、皇室御用達の 鵜飼として立派な仕事ぶりを発揮しております。 これは誰でも簡単になれるものではなく、世襲により代々受け継がれているとても 名誉ある職なのです。 この漁法に用いられる技法は国の重要無形民俗文化財に指定されていますし、使用 する道具は国の重要有形民俗文化財になっています。 つまりとても大切なものだということです。 魚を捕まえる方法はいくらでもありますが鵜飼ほど奇妙で幻想的な漁法はなかなか ありませんし、戦国武将でなくとも大切に育てたいと思うのはおかしなことでは ないのでしょう。 今でも大勢の人がお金を払ってでも見たいと岐阜市にやってきます。